トヨタ伝統企業は「自動運転」とどう関わるのか トヨタ紡織社長が明かす次世代車への対応策

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沼 毅(ぬま・たけし)/北見工業大学卒、1981年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。2011年常務理事、2012年常務役員、2016年トヨタ紡織副社長、2018年4月から現職。60歳(撮影:今井康一)

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トヨタ紡織は売上高1兆4000億円規模で国内最大、世界4位級の自動車内装品メーカーだ。シートやドアトリムなどの内装部品が主力で、オイルフィルターやエアフィルター、吸気系部品などを幅広く扱っている。トヨタ自動車の国内向けシートはほぼ100%のシェアを有し、高級車「レクサスLS」から小型車「ヴィッツ」までグレードや用途に合わせてさまざまに対応できることが強みだ。また北陸新幹線「グランクラス」用シートや航空機シートなど非自動車分野も開拓している。

トヨタ紡織はトヨタグループ創始者である豊田佐吉氏が1918年に創業した「豊田紡織」にルーツを持つ。その後、2004年に同業のアラコとタカニチと合併し、社名を現在のトヨタ紡織に変更したが、社名には「糸」の名前を残すなど伝統を重んじている。豊田自動織機も同社から生まれており、トヨタ紡織はまさにトヨタグループ発祥の企業とされている。2020年には愛知県刈谷市の本社に地上6階建ての新本館を竣工するが、同社の歴史を伝える歴史展示館も設置する予定だ。

ちなみに現在トヨタ紡織の会長を務める豊田周平氏は、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)社長を務めた豊田英二氏(豊田佐吉氏の甥)の三男だ。二男の豊田鐵郎氏は豊田自動織機会長、長男の豊田幹司郎氏はアイシン精機会長を務めている。

トヨタ紡織はトヨタ自動車からの信頼が厚く、システムサプライヤーとしての存在感はケイレツの中でも大きい。2015年にはアイシン精機、シロキ工業からの事業譲渡でシート骨格事業もトヨタ紡織に集約されるなど、骨格機構部品の開発・生産からシート組立まで一貫体制を構築した。だが、自動運転など次世代車になっても安泰とは限らない。車が所有から共有に移る中、車そのもののあり方も変わろうとしているからだ。伝統的企業は変われるか。トヨタ自動車出身の沼毅社長に課せられた使命は重い。

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