管理会社にのしかかる“三重苦”

成長性低下 
人口減少でマンションの新規供給は右肩下がり。管理戸数を増やして利益を上げる戦略は曲がり角に

人手不足 
民間の定年延長で、セカンドキャリアとしての管理人不足が深刻化。正社員も住民のクレーム対応で疲弊し、離職率は高い

採算悪化 
人件費高騰の一方、管理費の値上げは住民の同意が得にくい。大規模修繕の受注で赤字を補填するマンションも

住友不動産建物サービス(以下、住不建物)は、住友不動産傘下のマンション・ビル管理大手だ。今、同社が進める“マンション選別”の動きが、住民に大きな波紋を広げている。

「値引き額が決まったのかな」。2018年8月、北関東で自身が暮らすマンションの管理組合理事長を務める、渡部誠一郎(仮名)の携帯電話が鳴った。電話をかけてきたのは、住不建物の担当社員、藤代毅(仮名)だった。

この築十数年のマンションには、80近い世帯が暮らす。分譲元は住友不動産ではないが、竣工時から住不建物が管理を手がけてきた。だが、数年前から掃除が行き届いていない、管理人が短期間で交代するなど、管理の質が明らかに落ちてきていることに住民の不満が噴出していた。このため、本来は18年3月に更新契約を交わすはずだったが、正式な契約更新を延期。暫定的に9月末まで管理を継続する契約を結び、一方で管理費の値下げを求めていた。数回の話し合いの末、月額32万円の引き下げでほぼ合意に達しかけていた。

電話を受けた渡部の「数字はまとまりましたか」という問いかけに、藤代は「お会いしたときにお話しします。面会のお時間をいただきたい」としか言わない。腑に落ちないものを感じながらも、渡部は理事会を招集した。

そして理事会当日、藤代は理事たちに切り出した。「長いお付き合いでしたが、当社は手を引きたいと考えています」。あまりに一方的で唐突。しかも藤代の説明が要領を得ないため、理事会メンバーは困惑するばかりだった。