「今、私たちにできるのは、このTOB(株式公開買い付け)はおかしいと訴えて、世間や株主の皆様に理解していただくこと」。2月中旬、本誌のインタビューに応じたスポーツウェア大手デサントの石本雅敏社長はそう語った。

デサントの筆頭株主である伊藤忠商事は1月31日、デサントへの出資比率を現在の30.44%から最大40%に引き上げるべくTOBを行うと発表。デサント経営陣の刷新が必要との考えも明らかにした。

一方のデサントは2月7日、企業価値を害するおそれが大きいとしてTOBに真っ向から反対した。買い増しが順調に進めば、伊藤忠は株主総会で拒否権を発動できる3分の1超を確保する。

日本の大企業間では珍しい敵対的TOBは、双方が世間に向かって自らの正当性を主張し合う「劇場型」の展開を見せている。50年にもわたってともに事業を進めてきた伊藤忠とデサント。二人三脚で歩んできた両社がここまで対立するのはなぜか。泥仕合の原点を探る。

デサントの不信感は伊藤忠の取引“強要”から