小欄第92回でとりあげた「生前退位」という成句の由来について、拙稿を読んでくれた畏友からいろいろ示教をいただいた。ありがたいことである。まだ正確なところはわからないけれども、参考のためいくつか紹介したい。

法律の世界では、「生前贈与」という術語がある。「生前退位」を最初に使った人は、その言い回しから連想したのかもしれない、との由。

「生前贈与」はたしかに「退位」と同じく、法的な相続に関わることばだから、なるほど一理ある。可能性がまったくないとはいえまい。

しかしそんな連想が正当か、適切かどうかは、別の問題である。贈与の場合は、「生前」もあれば「没後」もありうるし、法律用語だから、黒白をつけるため曖昧なところがあってはならない。くどい言い回しも一種の必要悪なのだろう。