保育制度の問題として筆頭に挙げられるのは、待機児童問題だ。厚生労働省によると、2017年10月時点で待機児童の数は5万5433人とされる。だが、「入所可能な保育所はあるが、第1希望に入所するために待機している」などの理由から、統計に含まれない「潜在的な待機児童の数」はさらに多いとされる。

待機児童で大きな問題の1つが、共働き夫婦の就業だ。保育所に入れない子どもが家庭にいると、例えば母親は就業が難しくなる。そのため、保育所の受け入れ数を増やして母親の就業を促す方策が考えられる。だが、0歳や1歳の子どもへの保育サービスの拡大によって、就業がどの程度促進されるかは不透明な部分もある。

例えば祖父母の協力によって就労する母親が、保育所の受け入れ数拡大により祖父母の協力なしで就労できるようになった場合だ。家庭の保育者が祖父母から保育園に替わっただけで、保育所拡大により母親が就業できるようになったわけではなく、追加的な就労促進効果は限定的となる。

また、受け入れ数の拡大で就業できたとしても、有効な就業につながっているかは検証されるべき点でもある。例えば保育園に預けた子どもが感染症を繰り返しもらってしまい、母親が仕事を中断して帰宅せざるをえない場合がある。たとえ就労していたとしても、子どもの世話で仕事に注力できず、キャリアや技能の向上につながるような就労でない可能性もある。

こうした観点から、「ある程度子どもが大きくなったら、子どもの世話を気にせず思い切り働けるような社会」に近づける方法を、検討したほうがよりよいだろう。だが実際のところ現状は、子どもが大きくなっても母親の就労を阻害する要因が多い。その典型がいわゆる「小学1年生の壁」だ。