ガバナンス審査を一段と厳格にする好機

ストラテジックキャピタル 代表取締役 丸木 強

まるき・つよし●1959年生まれ。83年東大法学部卒、野村証券入社。99年M&Aコンサルティング設立。2012年ストラテジックキャピタル設立

新1部はコーポレートガバナンス・コード(CGC)に優れた企業の集まりであるべきだ。現在の1部上場企業をすべて新1部に移行し、その後に新1部上場全社のコーポレートガバナンス(企業統治)を審査し、その結果を受けて徐々に落としていく方法を取ってはどうか。5年程度かけて、2000社超をしっかり精査する形だ。

当社が上場企業の「コーポレートガバナンス報告書」を分析した結果では、“虚偽”を記載している事例が数多くある。企業の報告書に「完全実施」と記載していても、CGCで定める政策保有株式の議決権行使基準の開示事例は見たことがない。東証はCGCの実質を審査すべきだ。

東証は2007年の「親会社を有する会社の上場に対する当取引所の考え方について」と題する通達文書で「親子上場は必ずしも望ましい資本政策とは言い切れない」と表明。親子上場を抑制する考えだった。しかし15年に日本郵政と子会社2社、18年にソフトバンクの上場を認めてしまった。

一方で、東証が子会社の独立性確保を同文書で求めたことが誤解されている。上場子会社の少数株主が上場親会社に面談を要請しても、「子会社は独立経営の事業体だから」と拒絶する例がある。親会社取締役には、保有資産である子会社を適正管理し、子会社株の価値の維持・向上を図る義務があるにもかかわらずだ。