名護市辺野古の基地建設現場。カヌーに乗って工事を阻止しようとする反対派と、その動きを監視する海上保安庁の攻防が続く

空気は張り詰めていた。カヌーに乗った基地建設反対派が工事現場への接近を試み、海上保安庁の職員が必死に防御する。真冬の海での攻防。両者ともに危険な状況だ。

沖縄県名護市辺野古で進められる米軍基地建設工事は、昨年12月に海への土砂投入が始まった。その約3カ月前の県知事選挙では、基地建設に反対する玉城デニー氏が過去最多得票数で当選している。

2月24日には、いよいよ辺野古での基地建設の是非を問う県民投票が実施される。「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択で県民の意思を問う投票だ。政府はどのような結果が出ても工事を進める構えだが、「反対」が多数を占めれば、世論に少なからぬ影響を与えるだろう。

辺野古には複雑な心境で現実と向き合う人たちがいる。「基地に来てほしいと願う人間はいない。ただ、どうしても辺野古でなければならないというのなら、まちづくりに協力してほしいと防衛省に要請してきた」。辺野古商工会の前会長、飯田昭弘氏はそう話す。

基地が完成すれば、子や孫の世代にまで影響を与える。ただでさえ辺野古は過疎化が進んでいる。どうすれば若い世代が外に出なくて済む辺野古にできるか、飯田氏は防衛官僚らと交渉を重ねてきた。

しかし、県民同士の分断は深刻だ。「金で魂を売るのか」。飯田氏は同じ沖縄県民から何度も罵声を浴びた。じっと耐えたが、耐えなければならない現実はほかにもある。本土でまことしやかに言われる「沖縄は基地で飯を食っている」「補助金がないと生きていけない」という声だ。