【今週の眼】苅谷剛彦 英オックスフォード大学教授
かりや・たけひこ●1955年生まれ。米ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、博士(社会学)。東京大学大学院教育学研究科助教授、同教授を経て2008年から現職。著書に『階層化日本と教育危機』『増補 教育の世紀:大衆教育社会の源流』『教育と平等』など。(撮影:尾形文繁)

英国のEU(欧州連合)離脱の期限(3月29日)が迫ってきた。昨年11月にEUとの合意案が公表されたが、それを基とした政府案は、1月の国会で大差で否決された。政府にとっては大惨敗である。

その後、修正案が下院で審議にかけられ、北アイルランドの国境をめぐる現状の合意案(物理的国境は作らない、北アイルランドはEUの関税同盟にとどまるなど)を修正すること、「合意なきEU離脱」は行わないことといった国会決議が行われた。ただし、この修正案は政府を拘束しない。

メイ英首相は、その後ブリュッセルを訪問し、合意案の再修正の交渉を始めたが、EU側の態度は簡単に軟化しそうにない。このままでは合意なき離脱が現実になる。