宮崎直樹(みやざき・なおき)/1957年生まれ。1980年京都大学法学部卒業、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。2013年専務役員、2014年豊田合成副社長に就任。2015年から豊田合成社長(撮影:永谷正樹)

豊田合成はトヨタ自動車から独立した売上高約8000億円のゴム・樹脂製品メーカー大手だ。「ゴム」の柔らかさや復元性、「樹脂」の温かさや剛性を生かして、自動車部品を広く開発・生産している。

柱の内外装部品はコックピットモジュールやコンソールボックスほか、ラジエータグリルやミリ波レーダー対応エンブレムなどを幅広く手掛ける。またエアバッグでは世界4位、さらにドアとボディの隙間を埋めて風雨やほこり、騒音などを遮断するウェザストリップ製品は世界首位級を誇る。1995年には次世代の光源とされる青色LED(発光ダイオード)の量産化・販売にもこぎ着けている。

豊田合成は1949年にトヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)のゴム部門を母体にした「名古屋ゴム」をルーツに持つ。1973年に豊田合成に改称し、1980年に本社を現在の愛知県清須市に移転した。ちなみに社名の読み方は創業者の豊田家と同じ読み方「トヨダ」と濁音を取るのが特徴だ。

実はトヨタ自動車も創業当時のブランド名は「トヨダ」であり、英語表記も「TOYODA」だった。だが、その後「トヨタ」に変更。濁音がなく、さわやかで言葉の調子もいいことや、創業者の苗字である「トヨダ」から離れることで、個人の会社から社会的企業へ発展するという意味が込められていたという。そんな中、今でも豊田合成は創業当時の読み方を受け継いでおり、ある意味で歴史をつなぐ貴重な存在ともいえる。

今後の課題は次世代車への対応だ。電動化や自動運転の波が来る中、これまでの地位が安泰とは限らない。宮崎直樹社長はトヨタで人事部長を務めるなど人事畑が長い。人材育成に携わった経験を生かし、100年に1度の自動車業界の変革を乗り切ることはできるか。宮崎社長に今後の戦略を聞いた。

「われわれは主役になれない」

──将来の自動運転化で勝算はありますか?

電動化に関しては、軽量化や静粛性が求められるようになる。主力とする樹脂やゴム製品ではそうした機能強化を進めており、ビジネスチャンスが広がると思っている。

一方、自動運転では決してわれわれは主役になれない。基本的に電子製品をやってないからだ。その分野はデンソーなどが主役を担っていくだろう。

ただ、当社はハンドルやその周りのコックピット関連、運転席と助手席の間のコンソールボックスなどを手掛けている。さらに後のリアガーニッシュや前のフロントグリル、ミリ波レーダー対応エンブレムカバーなどエクステリアも扱っている。そうした場所にはセンサー類やカメラ類が入ってくる可能性が高い。つまり自動運転の商圏でこれまで商売させてもらっており、それが大きな強みになる。

豊田合成の取扱商品は非常に幅広い(撮影:尾形文繁)

──いわば商売する「場所」はすでに押さえているということですね。

そうだ。それをうまく使って、電子製品などを扱っているメーカーと協業していきたい。1年半以上前からトヨタグループの中でいろいろと協業の検討を始めている。自動運転は単品よりも、まとまった範囲での仕事になってくる可能性がある。グループ企業と手を取り合って、モジュール単位の開発ができるメリットは大きい。

当社はメッキや塗装、加飾などに強く、どうデザインしたらいいかなどでは一日の長がある。グループの中に競争相手はあまりおらず、ある意味で特異な存在だ。映画でいえば、主役はあくまで俳優で、われわれはヘアメークや衣装を担うスタッフといえる。そういう意味で、「ウィン・ウィン」の関係で補い合える。

「 “トヨタグループ” という地の利を生かす」

──車が高度化するにつれて、完成車メーカーに対するサプライヤーの存在感が増しています。