いま勤務先の授業で、明代史の概論を講じている。専門として研究に従事したことはほとんどなかった。けれども中国史・東アジア史のうち、とても重大な時代・対象であるため、自身の勉強も兼ねて、あえてとりくんだ次第である。

そんな明代の思想といえば、何といっても陽明学。儒教を代表する朱子学と並んで、日本でもおなじみである。もっとも最近は、中国学そのものへの関心が低いので、耳にしたこともない人のほうが多いかもしれない。

現代にもつながる陽明学

筆者だって、事情は大差ない。率直にいって、しばらく前まで、陽明学のことなど、ほとんど何も知らなかった。それでもここでとりあげるのは、その時代・歴史に関連が深いだけでなく、東アジアの現代的な問題にもつながると思ったからである。