特別監察委員会は「組織的不関与が問題」と指摘した(千和/PIXTA)

厚生労働省の不適切な毎月勤労統計は、失業保険、労災保険など約2000万人分の給付金額の誤りにつながった。さらに、国家予算の修正、景気動向指数の見直しなどを巻き込む大問題となっている。

1月22日、特別監察委員会は調査報告書の中で9項目の問題を挙げた。その詳細は割愛するが、ここで考えたいのが、樋口美雄委員長(独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)が指摘した「組織的関与ではなく、組織的不関与が問題」という点だ。担当者が軽い認識から、統計法違反を犯したということだ。

なぜ、このような問題が起きたのか。動物行動学的な視点から分析していきたい。実は、この「組織的不関与」はどのような組織でも日々、発生している問題だからだ。

「ムラの論理」という本能

まず、担当者がルールからの逸脱に至った理由を考えてみたい。「全数調査」とあるのを現場の判断によって抽出調査にしたのはルール違反が明白だ。なぜこのようなマズいことをしたのか。

処分された22人のうち、監督責任を問われた幹部を除く少なくとも20人は、ルール違反を犯していることを認識していたようだ。知っていながら見逃していて、処分に至らなかった関係者も多いに違いない。国を挙げての騒動となる前に対応できなかったメカニズムを見ていこう。