日本は転職率が低い。労働市場が流動的な米国と比べるとよくわかる。米国では失業を経由しない転職「ジョブ・ツー・ジョブ・トランジション(job to job transition)」が活発だ。2008年の世界金融危機後、ジョブ・ツー・ジョブ・トランジションによる転職率は以前よりも低下しているとされているものの、月平均で労働者の約2%が現在でも職を替えている。一方の日本は年平均で5%強(月平均にすると約0.4%)と低い。

日本の転職率が低い理由の1つとして、終身雇用、年功賃金といった「日本的雇用慣行」が挙げられる。

新卒一括採用により就職し、企業でトレーニングを受けながら、必要となる知識やスキルを身に付け、定年まで雇用が保障される。日本人にとってこれが標準モデルだった。

年功賃金により給料は年々上昇するため、生活設計をするうえでも優れた仕組みであった。高校や大学卒業と同時に多くの若者が一斉に就職できるため、若年層の失業率が諸外国よりも低いというメリットもあった。

しかし、1990年代以降の経済低迷を受けて、日本的雇用慣行はうまく機能しなくなっている。また、イノベーションやグローバリゼーションによって産業構造が大きく変化し、スムーズな雇用調整が求められる中、日本的雇用慣行は雇用の固定化を招く要因となり、うまく機能しないどころか経済によくない影響を及ぼしている。