東大病院は大丈夫か? 相次ぐ医療事故の真相 揺れる日本最高峰の病院

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マイトラクリップの治療実績で出遅れていた東大病院(撮影:今井康一)

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日本の医療界に長らく君臨してきた東京大学医学部附属病院で、医療事故が相次いでいる。再発防止策を十分に取らず、事故を公表しないケースもある。

昨年11月22日、東大病院循環器内科の金子英弘医師は、福岡市内で九州から集まった心臓病治療の専門医たちに講演した。

テーマは「Mitra Clip(以下、マイトラクリップ)をわが国の循環器診療にどう活かすか?」。マイトラクリップはアボット社が開発した。カテーテルを使った最先端の心臓病治療法で、日本では昨年4月に保険適用が始まったばかりだ。

ドイツ留学でマイトラクリップを学んできたという金子氏は、東大病院で実施した5つの事例を挙げながら、こう強調した。

「外科手術とは違って安全性が高いのがマイトラクリップの大きなメリットだ」

講演で隠された6例目 基準下回る患者に実施

ところがその2カ月前の9月21日、金子氏ら循環器内科チームは41歳の男性患者にマイトラクリップを試み、10月7日に亡くなる事故を起こしている。講演で語られなかった6例目だ。治療の過程で、肺に穴が開く気胸を起こした。

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