有馬浩二(ありま・こうじ)/1958年生まれ。京都大学工学部卒。1981年日本電装(現デンソー)入社。海外駐在後、2008年常務役員、2014年専務役員に就任。2015年6月から現職(撮影:今井康一)

デンソーはトヨタ自動車の系列サプライヤー最大手だ。自動車部品メーカー全体では国内首位、世界でも独ボッシュと競っており、トップ3に入る。売上高は5兆円を超え、営業利益も約4000億円規模と、マツダやSUBARUなど中堅自動車メーカーを上回る巨大企業だ。

デンソーは1949年、トヨタ自動車の電装・ラジエーター部門が独立して創業。熱機器やエンジン・駆動系、電動関連など広範囲な技術を有している。過去には電気自動車(EV)を自社製造したこともある。トヨタ系サプライヤーの中ではめずらしく、トヨタ自動車出身の社長ではなく、最近は一貫して生え抜きの社長が指揮を執る。トヨタ向け以外の売上高が過半を占めており、独立心が旺盛な面も特徴だ。

ただ次世代車ではエンジン競争からサービス競争に移り、これまでの積み上げがリセットされた非連続な世界での戦いになる可能性がある。欧米のメガサプライヤーが競争相手ではなく、グーグルやアップルなど異業種の巨人とどう向き合うかが求められている。そこでは競争と協調の見極めが必要だ。

そんな中、デンソーももがいている。最近はソフト関連技術者の採用を増やしているほか、外部との連携も深めるなど、これまでの自前主義からオープンな姿勢に転換。トヨタグループ内でも知見を広く共有するなど、100年に1度の変革期の中、グループ一丸となるため先頭に立って進んでいる。有馬浩二社長に激変期の対応を聞いた。

「振り子はハードとソフトの間で振れている」

──電動化や自動運転の波にどう対応していきますか?

これまでは完成車メーカーとすり合わせをして作り込むことで成長してきた歴史がある。そうした中から生まれた製品は多く、自信を持っている。半導体やモーター、センサーなどハード系がその一例だ。

一方、最近はソフトウエア系が注目され、人工知能や自動運転などでほかに強いプレーヤーが出ている。ソフトでできないものがあれば、自前だけでなく外の力も借りていく。その結果、いいハードができるかもしれない。振り子はハードとソフトの間で振れており、ソフトに行けば、ハードにもまた多少戻る。100年に1度の変革では、リスクと思われることがチャンスに変わることもある。

2017年に開催された東京モーターショー。デンソーの出展ブースには多くの自社製品が並んでいた(撮影:鈴木紳平)

──具体的な戦略はありますか?

電動化や自動運転の時代は車全体をどう電子制御するかが重要だ。当社はその技術やノウハウを持っており、リードしている自負がある。完成車メーカーと一緒にやれるプレーヤーはそう多くない。そこで電子プラットフォームをきちっと作り上げていく。

完成車メーカーがいい車をたくさん造ろうとしたとき、車を造りやすくしておくのがプラットフォームだ。標準化したものがないと自動車業界は大変になる。一品一様の車では工数や時間がかかり、価格も高くなり、結果的に購入者の負担になる。そうならないようにすることが要求されている。

トヨタ色が強くなると、不利にならない?

──2017年9月には、トヨタ自動車とマツダとEV(電気自動車)モジュールの合弁会社を設立しました。今の話とも関係しますか?