京都・清水寺が発表した2018年の世相を表す漢字は、「災」だった。昨年は自然災害が多発し、西日本を襲った集中豪雨などで多くの被災者が生まれた。被災者の生活再建をいち早く実現するうえでの優先課題は、仮設住宅の迅速な建設および入居である。しかし、行政が注意すべき点はそれだけではない。被災地域の「コミュニティーを崩壊させないための努力」も必要だ。

これまでの研究によると、コミュニティーの結束が強い地域では復興も迅速に進む傾向がある。これに対し、被災地におけるコミュニティー崩壊は被災者の社会的孤立を引き起こし、精神的ストレスや抑うつを悪化させる要因となる。さらに、こうした症状は被災者のアルコール依存や自殺願望の悪化にもつながることが示されている。

だがこれまではむしろ、コミュニティー崩壊をさせない努力よりも、加速させる政策が実施されることが少なくなかった。例えば仮設住宅の入居者を抽選で決定するという制度だ。この問題点は、4府県で25万棟を超える住宅が被害を受けた阪神・淡路大震災の際に頻繁に指摘された。

家屋を失った多くの人々の生活再建を早急に進めるため、政府はみなし仮設(賃貸住宅の空き室などを仮設住宅と見なして利用すること)を大規模導入し、プレハブ型仮設住宅(正式には建設型仮設住宅)の入居者を抽選で決めた。その結果、親戚や友人と離れ離れに避難することになった被災者は、仮設住宅内で孤立。震災から2年4カ月後までに、プレハブ住宅内での孤独死は150人にも達した。

東日本大震災後の福島第一原子力発電所事故でも、再び阪神・淡路大震災と同じ方式が導入された。ピーク時で16万人に及んだ原発事故避難者の入居先を、すぐに確保するのが困難だったからである。