東新製作所の生産技術センターにて(撮影:今井康一)
三洋電機の元社員が立ち上げたベンチャーが、掃除機市場で注目を集める。困難を乗り越え、新たな製品を創り出そうとする男の物語。

 

2018年12月、東京都大田区中央。区の土木試験場だった建物を改造したガレージの奥にある窓のない小部屋で、5~6人の男たちが、ハンディータイプの掃除機を前に熱心に議論していた。

「このノズルがもう一回り小さくなって、バーッと強力に水を吹き付けられるといいんだよね」

「あそこの会社は小さいのを作ってるけど、あれだと値段が高いんだよなあ」

「やっぱり自前で設計したほうがいいかねえ」

ここは「板金加工をやらせたら日本一」ともいわれる東新製作所の生産技術センターだ。

テーブルの中心にいるのは亀井隆平(かめい・りゅうへい 54)。身長180センチメートル、体重100キログラムの巨躯で、笑みをたたえながら周囲の声に耳を傾けている。元三洋電機社員で、社長だった創業家の井植敏雅や会長だった野中ともよの下で働いた経験もある。

次期製品をめぐって主要メンバーが大田区の東新製作所で相談(写真:今井康一)