新体制に向け駆け引きする日産とルノー。過去の合意が手足を縛る(写真左、撮影:風間仁一郎)
大株主として影響力を維持し続けたい仏ルノーに対し、日産は対等な資本関係への見直しを望んでいる。

 

「私は無実です。日産に対して損害を与えたことはありません」

日産自動車のカルロス・ゴーン前会長は今月8日、東京地裁であった勾留理由の開示を求める手続きに出廷し、昨年11月19日の逮捕以降初めて公の場に姿を現した。ゴーン氏は51日間に及ぶ拘置所生活でやつれていたが、抑え気味の口調で勾留の不当性を主張した。

ただ、日産はゴーン氏の逮捕後間もなく、会長職から解任。20年近く寄り添ってきた日産とルノーとの主導権争いが解任後から激化しているが、すでに焦点はゴーン氏の動向から新体制の枠組みに移ってきている。

ルノーは昨年12月以降、日産に臨時株主総会の開催を2度提案したが、日産はこれを拒否。ルノーは日産の企業統治について総会の場で議論することを提案の理由に挙げている。

株主総会の焦点は決議事項である取締役の選任だ。ルノーとしては、職責を果たせない状況のゴーン氏と前代表取締役のグレッグ・ケリー氏の後任を早期に送り込み、日産への影響力を回復させることが狙いだろう。一方の日産は、ルノー派の2人が不在の現状は議論を進めるには都合がよい。不正問題の温床となった統治体制を見直す第三者委員会での議論を理由に、6月の定時株主総会まで逃げ切る戦略とみられる。

ただし、ルノーが会社法を根拠に総会開催を請求すれば話は別だ。議決権の3%以上の株式を6カ月以上前から保有する株主は、株主総会招集を会社側に請求できる。会社側が応じない場合、請求した株主は裁判所に招集の許可を申し立てることができ、許可されれば株主自ら招集する流れだ。