「大きな変革が訪れるときは、国外の知見や力を借りることの重要性が増す」

デービッド・アトキンソン氏はこう指摘する。同氏の新著『日本人の勝算』(小社刊)は、外国人エコノミスト118人の論文やリポートを基に執筆された。そこには従来と一線を画す分析がいくつもある。ここではアトキンソン氏が注目する「新常識」を見ていこう。

新著では多くのデータを基に日本を分析し、生き残る処方箋が示されている(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

新常識1| 米国の経済成長は人口増が主因だった

世界一の経済規模を誇る米国。その成長の要因として、「シリコンバレーのIT企業の集積」や「自由資本主義の下で生まれた起業文化」などに起因する生産性の高さを挙げる専門家は少なくない。日本でも「日本版シリコンバレーを作るべきだ」「起業を促進せよ」という声がよく聞かれる。

だが「事実は必ずしもそうではない」とアトキンソン氏は指摘する。その根拠は米ネブラスカ大学リンカーン校のウェスレイ・ピーターソン教授が2017年に発表した論文「The Role of Population in Economic Growth」にある。

同論文の分析によると、1913~2010年の米国などの経済成長率は平均3.08%と、西欧の2.32%を上回っている。その差はどこにあるのか。

経済成長率への寄与度を「生産性」と「人口増加」の要因に分解してみると、米国などの生産性は1.79%。水準は高いものの、西欧の1.85%を下回っている。米国の経済成長率の伸びが欧州より大きい理由は、単に人口増加率が大きかったからなのだ。