昨年10月、上海のアップル直営店で取材に応じるティム・クックCEO(写真:REUTERS/Aly Song)

【上海/サンフランシスコ=ロイター】アップルのティム・クックCEOは今年、中国での事業を立て直そうと決意しているはずだ。

アップルは、裁判所によるiPhoneの一部機種の販売禁止命令、不確実な米中貿易摩擦、ファーウェイやサムスン電子といった競合に後れをとる5G展開など多くの忍び寄る脅威に直面している。

こうした複雑な環境と見通しはアップルに大きな課題を突き付けている。1月2日、中国での低迷を受けて世界販売見通しを大幅に引き下げた結果、アップルは750億ドルの株式時価総額を失い、世界の金融市場を混乱させた。

しかし、それでもアップルは中国事業の立て直しを模索しているようだ。

クックCEOは投資家向けの書簡の中で、中国での業績悪化をもたらした主要因は、想定を上回るほどの経済環境の悪化であり、それに米中貿易摩擦をめぐる緊張が拍車をかけたと記している。

「とりわけ中華圏における景気減速の影響は予見できなかった」(クックCEO)

しかし、ロイターが中国の消費者に取材して聞き出した内容からすると別の要因もありそうだ。アップル製品の価格の高さだ。

アップルは諸々の課題の波に襲われたとアナリストはみている。景気減速に加え、ファーウェイなどの競合他社が相対的に安い価格で同等の性能を持つ機種を投入し、米中貿易摩擦が進展する中で愛国心を煽っている状況があるのだ。

半導体メーカーであるクアルコムとの法的な係争が続くなかで、中国の裁判所が複数のアップル製品販売の仮差し止め命令も出している。iPhoneの6SからXまでのモデルを対象とするこの差し止め命令はまだ執行されていない。

1月3日には、中国の業界団体(中国知的財団保護協会と中国反侵権假冒創新戦略聯盟)がアップルを相手として、裁判所が出した命令を尊重し「超越的な経済力と影響力を行使して中国の法規に違反する」ことがないよう要求した。

団体からの要求に対し、アップルはコメントを控えているが、以前には同社の携帯電話は中国裁判所の命令を遵守していると発言していた。

カウンターポイント社のリサーチディレクターのニール・シャー氏は、「アップルの中国事業は厳しい段階にある」としたうえで、強力な現地ライバルの出現と販売禁止命令に対する懸念によりiPhoneの市場シェアが今年は7%に低下すると予想している。

アップルは2015年をピークに中国でのシェアを低下させてきた。

2018年第3四半期におけるアップルの市場シェアは約9%で、2015年の14%超から低下していた。ファーウェイ、オッポ(Oppo)、ヴィーヴォ(Vivo)といった競合にシェアを奪われた形だ。