JDIの東入來信博会長兼CEO(写真左)は、3月末の退任もささやかれる。JDIの筆頭株主で志賀俊之会長兼CEO(右)率いるINCJは、中国・台湾企業にJDI株を売り渡すかどうかの選択を迫られている(撮影:大澤 誠、尾形文繁)

いったい、何のための「日の丸ディスプレー連合」だったのか──。

中小型液晶メーカー大手のジャパンディスプレイ(JDI)が、中国や台湾などの複数社から、出資受け入れに向け協議を進めている。昨年12月から中国政府系ファンドのシルクロード基金や台湾のタッチパネルメーカー、TPKホールディングなど、JDIに対し出資を検討する具体的な名前が浮上し始めた。同月14日にはJDIも、中国系企業も含んだ外部との提携について協議していることを認めている。

1月22日のウォール・ストリート・ジャーナルによれば、中国および台湾の投資家グループによる合計の出資比率は現在の筆頭株主である官民ファンド、INCJ(旧産業革新機構)の25.29%を上回る3割になる可能性もある。あるJDI関係者は、「今年3月末までには契約を締結できることを目指している。交渉は今、佳境を迎えているところだ」と漏らす。

JDIは、売上高の約7割を占める米アップル向け出荷の浮き沈みと、パネル工場の重い償却費負担に苦しめられてきた。2018年3月期の純損益は4期連続、フリーキャッシュフローは5期連続でマイナスだ。会社の短期的な支払い能力を示す流動比率(流動資産÷流動負債)も、2019年4~9月期で約67%と100%を下回っている。

これまでJDIが窮地に陥るたびに手を差し伸べてきたのはINCJだった。だがそのINCJも、上部組織にあたる産業革新投資機構(JIC)の取締役が、今年1月に一斉辞任するという出来事があった。INCJは「(JICの取締役一斉辞任は)経営に影響を与えるものではない」としているが、「INCJからの追加支援は期待しにくい」とJDI関係者は見ている。JDIにとっては、当座の運転資金を確保するうえで、資金的な援助をしてくれるパートナーを探すことは必須条件となっている。

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