老後は年金で悠々自適に暮らす──。多くの先進国では、このような生活パターンが20世紀に登場した。だが今となっては、ほとんどの国で維持していくことのできない、ぜいたくな仕組みとなっている。

イタリアには、現役世代が負担している金額の2〜3倍もの年金を受け取っている人たちがいる。欧州連合(EU)全体では、63歳超と現役世代とで所得の中央値はほとんど変わらない。65歳未満の年金生活者はEU全体で3000万人に上る。年金受給者の4人に1人は、とても“高齢”とは呼べない人たちなのだ。

世界で初めて公的年金制度を導入したのはドイツ帝国初代宰相のビスマルクだが、当時の平均寿命は45歳だったのに対し、70歳まで年金を受け取ることはできなかった。しかし現代の欧州では平均寿命が80歳を超す国が多いにもかかわらず、65歳からの年金受給が一般化している。