「バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカン」大統領令は反移民の象徴(Bloomberg / Getty Images)

「今、世界に向けて強力なメッセージを発している。それは米国の労働者や仕事を守り、米国人を優先する、ということだ」

2017年4月18日、トランプ大統領は中西部ウィスコンシン州でブルーカラー労働者などにこう語りかけ、「バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカン(米国製品を購入し、米国人を雇え)」政策強化をうたう大統領令に署名した。

同大統領令の主眼は、大学・大学院卒の高度スキルを持った外国人向け短期就労ビザ「H1B」の審査強化など、移民の締め付けだ。

テキサス州の移民法弁護士、ジェーソン・フィンケルマン氏によると、就労、永住権、市民権の申請を問わず、全ビザの審査が厳格化された。却下件数を増やす一方、米企業に自国民を雇わせ、留学生や外国人労働者には母国に帰るほうがましだと思わせるためだ。

同氏の話では、通常毎年4月初めに申請し、7~8月に許可が下り、10月から米雇用主の下で働き始めることができたが、18年は年の瀬になってようやく米国市民権・移民業務局(USCIS)から返答が届き始めたという。「『見えない壁』を築くことで、申請意欲をくじこうとしている」と、フィンケルマン氏は憤る。

ロサンゼルス在住のカリフォルニア州弁護士、ニッキ・メルプ=ヤコブソン氏の話では、その仕事に外国人が必要な理由など、「証拠の請求(REF)」を再三求められたり、REFなしに却下されたりするケースが全米で増えている。USCISは「却下理由」を探すべく、審査期間を2倍以上に延ばすこともザラだ。同氏は「21年間、移民法に携わってきたが、こんなひどい状況は初めてだ」と話す。