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独自の文化を持つ日本の特捜警察 ゴーン氏の再逮捕と東京拘置所生活・上

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11月19日、東京地方検察庁特別捜査部に逮捕され、現在、東京拘置所に勾留されている日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏(64)と前代表取締役のグレッグ・ケリー氏(62)が、勾留期間が満了する12月10日に起訴されるとともに再逮捕された。1回目の逮捕容疑は、ゴーン氏が2010〜14年度の役員報酬を計約50億円分過少記載したとの金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)だ。2回目は、15〜17年度の報酬計約40億円分について、同じ容疑である。

日本の特捜検察には独自の文化がある。それは、筆者のように特捜部に逮捕され、取り調べを受けた人以外には皮膚感覚でわかりづらいところがある。それだから、ゴーン事件についても筆者は自分の体験を踏まえて論評する。

特捜検察が企業不祥事を摘発すると国民もマスメディアも拍手喝采する。しかし、こういう対応は危険だ。筆者は02年5月14日、北方領土問題がらみの鈴木宗男事件に連座し、東京地検特捜部に逮捕され、東京拘置所の独房に512日間勾留された経験がある。接見等禁止措置(罪証を湮滅〈いんめつ〉する可能性がある被疑者・被告人に弁護人以外との面会、文通などの接見交通を禁止する措置)がつけられたため、弁護人以外とは、家族を含め、一切の手紙のやり取りもできなかった。検察や外務省のリークによって、筆者を非難する情報が大量に報じられた。その中には事実でないものも多かった。

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