米国が現在、完全雇用を実現できているのは、長期の金融緩和で、「バブル」が醸成され、総需要がかさ上げされているからではないのか。過去20年、米国経済は金融的不均衡(バブル)なしには完全雇用を達成できなくなっている、というのが筆者の仮説だ。完全雇用だったのは、2000年のドットコム・バブル、00年代半ばのサブプライム・バブルのときだ。

1990年代の情報通信革命で、製造業でも非製造業でも、労働節約的なイノベーションが続き、所得増加が支出性向の低い一部の富裕層に集中するようになった。その結果、貯蓄と投資を均衡させる自然利子率がマイナスの領域に入り、完全雇用に容易に到達できなくなった。

バブルにより完全雇用が実現されているとすれば、問題は、景気が過熱してくると長期金利に上昇圧力がかかり、資産市場の動揺が始まることだ。18年10月以降、株式市場は下落基調にある。バブル崩壊が始まったと主張するのは尚早だが、最終局面は遠くないだろう。