サウジアラビア人ジャーナリスト殺害事件が、いまだにくすぶり続けている。

ジャマール・ハーショグジー(カショギ)氏が2018年10月2日、トルコ・イスタンブールにあるサウジアラビア総領事館に入ったところ、待ち構えていたサウジアラビア政府の諜報機関関係者によって殺害された。同氏がサウジアラビアの現体制に批判的な記事を発表し続けてきたことが、殺害の理由とみられている。この凄惨な事件は、サウジアラビア政府が殺害の事実を認め、実行犯の逮捕と裁判の実施によって一方的に幕引きを図ろうとしている。

しかしながら、国際社会の多くはこの事件が解決したとは見ていない。そればかりか、サウジアラビアの事実上の最高権力者であるムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が事件の首謀者である、との疑いを深めている。

事件の舞台となったトルコでは、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がサウジアラビアに実行犯の引き渡しを要求している。ムハンマド皇太子の外遊先のエジプトやチュニジアでは、ジャーナリストや市民による抗議活動が行われた。

G20(20カ国・地域)ブエノスアイレス・サミットにおいては、フランスのエマニュエル・マクロン大統領がムハンマド皇太子に事件への懸念を訴えただけでなく、「あなたはいつも私の話を聞いてくれない」と詰め寄る場面もあった。一方で米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ムハンマド皇太子を擁護している。もっとも、米国の中でもCIA(米国中央情報局)はムハンマド皇太子が事件に関与したと分析しており、さらに議会内の雰囲気もサウジアラビアに厳しい。