ドナルド・トランプ米大統領の誕生、米中貿易摩擦、英国のEU(欧州連合)離脱など、2018年もさまざまな地政学リスクが世界で表面化した。19年にはどのような問題が起こり、政府や企業、個人はどう備えるべきか。地政学リスク専門のコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長で、国際政治学者でもあるイアン・ブレマー氏に世界の行方を聞いた。

Ian Bremmer●旧ソ連の研究で米スタンフォード大学の博士号を取得。国際政治リスクの分析に定評がある。『「Gゼロ」後の世界』『対立の世紀』など著書多数。(撮影:今井康一)

──19年の世界はどのような地政学リスクに直面しますか?

まっ先にトランプ大統領が挙げられる。外交面において同氏は非常に特異だ。前政権が進めていたTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱、また地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの脱退、イランへの経済制裁の復活など、単独行動主義が目立つ。

トランプ大統領の外交政策の特徴は短期的な視点で物事を解決しようとすることだ。その結果、長期的に見れば米国の影響力が失われている。日本への「自動車関税」もその一例だ。米国にとって長い目で見れば欠かせない同盟国との信頼関係を損なっている。