グローバル化で職の72%は価値を失う──。著書『10年後に食える仕事、食えない仕事』で大胆な職業の未来予測をしたジャーナリストの渡邉正裕氏が、AI(人工知能)の影響を踏まえ、あらためて職業の盛衰を描く。

2018年9月に、引っ越し先で東京電力から新電力ベンチャーの「LoooPでんき」に切り替えようとして電話で問い合わせると、こう告げられた。

「スマートメーターですので今後、検針員はお伺いせず、通信でデータを取得します。支払いはクレジットカードのみで、明細はウェブ上からの確認となります。ネットからお申し込みください」──。書類郵送も不要で、手続きは実に簡単だった。

以来、検針員は来ていない。東電は20年までに全戸にスマートメーターを設置する計画。明治時代から150年近く続いてきた「検針員」という職業は、丸ごと消えつつある。

平成最後の数年で、いくつかの職業が急速に消滅しつつある。10月、欧州から帰国した際も、羽田空港の入国審査が機械化され、人間を介さなくなっていた。代わりに並んでいたのは、数十台のパナソニック製「顔認証ゲート」。「人間の審査は選べないのですか?」とスタッフに聞くと、「はい、すべて機械になりました。成田でも徹底しています」との回答だった。

機械による入国審査の手順はこうだ。音声案内に従ってパスポートの顔写真のページをスクリーンに置き、顔をカメラで認識してICチップと照合するだけ。1人10秒程度で次々と処理されていく。 

テクノロジー進化の職業への影響を検証

ポスト平成の時代にかけて、日本人の仕事はどう変化するのか。将来「消える仕事」についての予測は、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の論文「雇用の未来」が有名だ。しかし機械学習の研究者らが、おのおのの職業イメージや「勘」を持ち寄ってワークショップ形式で判断したものであることがわかっている。筆者はそうしたイメージでなく、職場の最前線で働くワーカーへの「取材」を基に職業の盛衰を分析した。重視したポイントは二つ。「グローバル化」と「テクノロジー進化」である。