いわさ・ひろみち●1942年生まれ。67年慶応義塾大学大学院修了後、三井不動産入社。95年取締役、97年専務取締役、98年代表取締役社長、2011年会長。(撮影:梅谷秀司)

欧米諸国との違いを感じたもう一つは、都心の街づくりの仕方であった。パリもロンドンもビジネスの場であると同時に観光の場であり、生活を楽しむ場として、街中には昼夜を問わずにぎわいが感じられた。他方で東京都心の夜間や週末は、街が閑散としていた。こうした状況を何とかしたいと思っていた矢先、六本木・旧防衛庁の土地約8ヘクタールが2001年9月に入札にかけられると知った。チャンスが来た、と思った。

「私のこれまでのデベロッパー人生の集大成をこの場所でお見せしたい。皆さまどうかご賛同を」と、当時は財務体質改善の途上であったこともあり機関投資家のトップを口説いて投資を呼びかけた。証券化の手法を使って三井不動産が40%、ほかの機関投資家5社が60%という比率でコンソーシアムを組み、1800億円で落札した。