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『無人化と労働の未来 インダストリー4.0の現場を行く』 『未来をはじめる』ほか

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無人化と労働の未来――インダストリー4.0の現場を行く
無人化と労働の未来――インダストリー4.0の現場を行く(コンスタンツェ・クルツ、フランク・リーガー 著/木本 栄 訳/岩波書店/2800円+税/231ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Constanze Kurz●1974年生まれ。情報学博士。ホワイトハットハッカー集団「カオス・コンピュータ・クラブ(CCC)」のスポークスマンの1人。新聞でのコラム連載も。
Frank Rieger●1971年生まれ。ハッカー、コラムニスト、インターネットアクティビスト。通信セキュリティ企業の技術最高責任者を務め、CCCのスポークスマンの1人。

自動化で失職者増えた時負担の公平化は可能か?

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

1990年代以降の情報通信革命で、先進国から多くの製造現場が消えた。近年始まったのは、非製造業での自動化だ。われわれの仕事や暮らしは今後、どう変わるのか。

本書は、世界に先駆け第4次産業革命を打ち出し製造現場の変革を続けるドイツで話題となった、無人化時代の労働社会を考えるための一冊だ。原著の出版は2013年だが、その深い洞察に驚かされる。

本書の構成はユニークで、前半は、主食のパンが食卓に届くまでの様々な労働現場を描写する。小麦畑、農機メーカー、製粉所、管理倉庫で、かつて人間が行っていた仕事がどのように機械に置き換えられたか、興味深く論じる。

後半のテーマは、非製造業で始まった知能の自動化である。頭脳を使う仕事は代替が難しいと皆慢心しているが、今後、ソフトウェアやアルゴリズムが代替する。低賃金の仕事だけでなく、計画立案、報告書作成、管理などの業務も対象だ。最後に残るのは、人間だからこそ作り出せる真に創造的な仕事だけという。

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