物事に対し「あるべき論」が好きな、いわばスジを通したがる日本人。一方、中国人が重視するのは「あるべき」ではなく「あるのか、ないのか」の現実。「ある」なら「どれくらい(量)」が判断基準になる。両者の思考方法を「スジ」と「量」で表し、相互の理解を促す。

スッキリ中国論 スジの日本、量の中国
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窃盗は違法行為だが少量ならおとがめなし

──行列に割り込む中国人の論理には笑ってしまいました。

自分が急いでいるとき、ほかの人が急いでいなければ割り込んでも順番が一つ遅れるだけだから問題はないだろう、と考えるのが中国人。実際に割り込んで怒る人がいたら、怒った人の後ろに入り直してみる。逆に、自分が割り込まれる側になっても、自分が急いでいなければ怒ったりしない。

──窃盗も量によっては刑事罰を受けないというのも驚きです。

量で考える社会は、こうあるべきという考え方をしないので、許容範囲が広い。あくまでも、行動によって大きな問題が起きるかどうかが判断基準だ。違法行為であっても、社会的影響が大きくなければ犯罪ではないと考える。窃盗も500元(約8500円)以下は犯罪にはならない。

──着想を得たのはいつ頃ですか。

1990年代の半ばから中国に進出する日本企業が増え、その手伝いをする中で両者がかみ合わない場面をたくさん見た。日本人には中国人の臨機応変さがいいかげんと映るし、中国人には現実に即さない日本人がバカに見える。これではうまくいかない。

──割り込みなど日本人には理解が難しい量の社会のメリットは?