FBを「社会の脅威(menace to society)」と断じたソロス氏(写真左)に対し、FBはコンサル会社を使い反撃。それをサンドバーグ氏(右)が主導した一方、ザッカーバーグ氏(中央)は詳細な状況を把握できていなかった(ロイター/アフロ、Abaca/アフロ、AP/アフロ)

フェイスブック(FB)の不祥事が止まらない。今年3月、米国の利用者を中心に最大8700万人分のデータが流出していたことが発覚。そのデータは、2016年の米大統領選挙でロシア関係者によってドナルド・トランプ陣営が有利になる工作に使われたことが報じられた。 

この事態を受け、マーク・ザッカーバーグCEOは4月、米議会で開かれた公聴会に出席。計10時間近くにわたり、議員から批判や質問を浴びせられた。

公聴会を何とか乗り切ったかに見えたFBだが、失態はこれで終わらなかった。

6月には、利用者のデータを計60以上のデバイスメーカーと共有していたことが発覚する。そこには信仰や政治的志向などの情報が含まれており、デバイスメーカーの中にはアップルや韓国・サムスン電子のほか、安全保障上の観点から米国政府が問題視している中国・ファーウェイの名前もあったことが報じられている。

同月には、FBの広告主やFBにとって関係の深い一部企業に対し、利用者のFB上における「友達」や電話番号などのデータをFBが特別に提供していたことも明らかになった。その中には、ロイヤル・バンク・オブ・カナダや日産自動車などの名前があったという。ザッカーバーグ氏は4月の公聴会で「広告主にはデータを売っていない」ことを強調していたが、実態はルールが形骸化していた可能性がある。

一連の報道に対しFBは、デバイスメーカーと共有していた件は一時的な措置であり、このサービスは段階的に終了することをすでに発表していると反論。特別なデータ提供に関しては、友達のプライベートな情報と友達のリストは区別すべきなどとしながら、データを提供したこと自体については否定しなかった。

10月には約2900万人分の名前や電話番号、メールアドレスなどがハッカーからの攻撃で流出していたことを会社は発表した。

米NYT紙が報じた衝撃的な政界工作

より深刻な一撃は11月中旬に米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙が報じた、シェリル・サンドバーグCOOによる執拗な政界への工作活動や世論操作だ。

同氏は米財務省首席補佐官やグーグル広告部門の要職を経て、08年にFBのCOOに就任。12年から取締役も務めている。ザッカーバーグ氏の右腕だ。女性リーダーのあり方について記した著書はベストセラーになっている。

NYTの記事によると、サンドバーグ氏はデータ流出などでFBへの批判が高まる中、ロビー活動による政界工作に血道を上げた。

まず、米大統領選をめぐりロシアがFB上の広告で世論操作を行った疑惑について、さらなる調査や規制を求める議員たちを懐柔しようと画策。同議員らの元首席補佐官を雇ったり、サンドバーグ氏が自ら議員に電話をして、苦情を申し立てたりした。

ほかにもワシントンに拠点を置くコンサルティング会社、ディファイナーズ・パブリック・アフェアーズを雇い、不都合な相手をおとしめる情報をメディアに流した。

たとえばアップルのティム・クックCEOがテレビのインタビューで「われわれは個人情報を取引しない。プライバシーは人権であり、市民社会の自由を守るためにある」とFBを想定し発言した際、ディファイナーズを使い、クック氏やアップルを批判する記事を書かせた。その記事を載せたWebメディアは、ディファイナーズとオフィスや従業員を共有しており、事実上一心同体だった。