「プラットフォームは独りでは成り立たない」

2003年から8年にわたり、グーグル日本法人で社長、名誉会長を歴任した村上憲郎氏。社長時代は米国本社副社長を兼務するなどグーグルを熟知する人物だ。村上氏の見たグーグルとは、どのような企業だったのか。

むらかみ・のりお●1947年生まれ。DEC日本法人など経て2003年にグーグル日本法人社長就任。11年に同名誉会長を退任。(撮影:尾形文繁)

──グーグルはプラットフォーマーとして、ビジネスの生殺与奪を握っていると見られています。

そんなことはない。プラットフォーム(基盤)上の各レイヤー(階層)に位置する企業も繁栄するように配慮していかないと、プラットフォーム自体が繁栄しない。プラットフォーマーはそのような責務を担っている。

逆に言うと、各企業はどのレイヤーを主戦場に選ぶかが重要になる。プラットフォームを握ることができたら最強だが、「握れなければ負け」ではない。

──プラットフォーマーとして重要なのは共存ということですか。

そうだ。グーグルがユーチューブ買収を発表した06年秋。日本法人社長だった私は、ユーチューブ創業者のチャド・ハーリーとスティーブ・チェンの二人に会いに米国へ向かった。日本のテレビ局の番組が無許諾でアップロードされ問題となっていたので、「日本の権利団体の人たちとなるべく早く会ってくれ」と頼んだ。結果、彼らの最初の海外出張先は日本となった。JASRAC(日本音楽著作権協会)に連れていき、二人と一緒に私も頭を下げた。

グーグルマップのストリートビューの作成をめぐっても、プライバシーの観点から車体に取りつけたカメラ位置の高さを40センチメートル下げるなど、総務省や諸団体との交渉を行った。社長や名誉会長として私が担っていたのは、基本的には「謝り役」だった。

スマートグリッドで見せた先見性

──グーグルの経営陣にすごさを感じたことはありますか。