コンプライアンス(法令遵守)に詳しい中島茂弁護士は、監査役が動くべきだったと話す。

中島経営法律事務所 代表 弁護士 中島 茂
なかじま・しげる●1977年東大法学部卒。79年弁護士。経団連「行動憲章」策定・改定に関与。(撮影:尾形文繁)

──ゴーン氏が役員報酬を隠していたと報道されています。

かつて日産自動車の窮地をゴーン氏が救ったことや業績のV字回復など大きな実績を上げたことに幻惑されていたのだろう。取締役も、株主も、従業員も、だ。それで不正の発覚が遅れたのではないだろうか。

──どのような法令違反に問われそうなのでしょうか。

今回は報酬の過少記載も大変な問題だが、そのほかにも住宅購入や身内との契約など、資金流用も指摘されている。会社法は「取締役は自己または第三者のために株式会社と取引しようとするときは、取締役会に重要な事実を開示しその承認を受けなければならない」と定めている(第356条1項2号および365条1項)。そうした取引をするなら、ゴーン氏は事前に取締役会の承認を得なければならなかった。承認を得ずに取引をしたのなら会社法違反になる。

──ゴーン氏は「報酬は確定していない」と主張しているそうです。