北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)委員長は2度目の米朝首脳会談を心待ちにしているはずだ。シンガポールで初会談を行ってから、正恩氏はつねにトランプ米大統領を出し抜いてきた。トランプ氏は今も自分が世界的なディールの達人だと思い込んでいるが、同氏の手の内は正恩氏に見透かされている。

正恩氏は愛想よく振る舞い、非核化を約束することでトランプ氏の脅迫をいなし、韓国を味方に引き入れ、制裁に穴を開けてきた。しかも、核について実質的にいっさい譲歩することなく、これらを成し遂げたのだ。16カ所の秘密施設では今も弾道ミサイル開発が続行中だという。正恩氏は米大統領との会談という、父や祖父がなしえなかった偉業をも達成している。

一方のトランプ氏は正恩氏とは対照的に、自慢できるような手柄はまるで手にできていない。米政府高官は1回目の会談以降、非核化の工程表を差し出すよう北朝鮮に圧力をかけてきたと伝えられる。だが北朝鮮は、核に関する基礎的な情報すら手渡そうとしない。トランプ氏以外を相手にしても意味がないことを心得ているからだ。