バブル崩壊後の経営再建を担い、REIT(不動産投資信託)の生みの親となり、都心再開発ブームの仕掛け人でもある。不動産業界の重鎮、岩沙弘道・三井不動産会長が熱狂と混沌の平成を語る。

いわさ・ひろみち●1942年生まれ。67年慶応義塾大学大学院修了後、三井不動産入社。95年取締役、専務取締役、98年代表取締役社長、2011年会長。(撮影:梅谷秀司)

平成の幕開けの1989年、日本の不動産業界は熱狂の渦中にあった。内需拡大という政府の方針の下、金利が引き下げられ、個人も企業も、過大な借金への警戒心が薄れていった。当時の日本企業は世界的に競争力があったため、調達された資金は本業への設備投資ではなく、株や不動産へと向かった。戦後50年近く日本の地価は右肩上がりが続いていた。だから今後も必ず上昇する、という強固な固定観念、いわゆる「土地神話」が日本中を支配していた。