中国ではリアル店舗でもスマホ決済が浸透している。これなしにはすでに日常生活は成り立たない

「芝麻(ジーマ)信用の評価点数は恋愛の必要条件になる。彼女のお母さんは『娘と付き合いたいなら点数を見せなさい』と言うだろう」。アリババグループの総帥、ジャック・マー(馬雲)会長が2017年1月、世界経済フォーラム(ダボス会議)で行った発言が波紋を呼んだ。結婚という人生の大事を一民間企業の信用評価システムが左右する。しかも企業家が公の場で得意げに語る。その光景が中国社会の異質さを際立たせた。

芝麻信用は、中国で主流の決済システム「アリペイ(支付宝)」の一機能。関連企業のアントフィナンシャル社が提供する。アリペイは物販や飲食などリアル店舗やネットショッピングでの支払いのみならず、納税や年金受け取り、公共料金の支払い、各種ローンの返済などあらゆる決済の中核を担う。中国での日常生活はすでにスマートフォン決済なしでは成り立たない。一定額がチャージされていれば、現金はほぼ不要だ。

芝麻信用はこうした支払いの履歴に加え、資産状況や学歴、趣味などの情報に基づき、個人の信用力を点数化するものだ。評価は950〜350点の範囲で数値化され、毎月更新される。評価基準は非公開だが、公式見解では、評価点数を上げるには税金や公共料金、家賃などをきちんと納付すること、信用力の高い友人と多く付き合うこと、金銭の「入り」を増やし、支出を計画的に行うことなどとある。

中国は一党独裁の政治状況の下、以前から個人情報一元管理の仕組みがあり、西欧的な「プライバシー」の観念は未成熟だ。自らの情報が公的機関や私企業に収集、利用されることへの抵抗感は全般に薄い。むしろ情報提供に相応のメリットがあるならば、積極的に公開してもよいと考える人が多数派だ。

結婚、就職でスコア選別 点数引き上げに躍起

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