価格改定で苦戦する企業が多い中、値決めが巧みな企業もある。

壱番屋

壱番屋が運営する「カレーハウスCoCo壱番屋」は、外食業界の中でも屈指の値決め上手とされる。その技は関係者の間で「サイレント値上げ」と称されている。価格を一気に上げるのではなく、対象商品や時期を少しずつずらし、細かく上げていくことで、顧客が値上げを感じにくくなる工夫をしているのだ。

CoCo壱番屋は、顧客が自分好みにカレーをカスタマイズできる点が魅力。シンプルなカレーを基本として、チーズや野菜など数十種類あるトッピングからいくつか選んだり、「普通」から「10辛」まで11段階の辛さを好みで選んだりできる。ライスの量も100グラム単位で変えられる。

このように複雑な価格構成になっているので、細かな値上げは気づかれにくい。15年3月にトッピング7品目を値上げしたのを皮切りに3年連続で何らかの商品を値上げした。が、たまに利用する20代男性が「値上げしていたのは知らなかった」と語るように、客にとって負担増の印象はあまり強くないようだ。

提供される商品をトータルで見ると、さすがに値段は高くなる。たとえば、人気のロースカツカレーにトッピングでチーズを選び、辛さを1辛、ライスを400グラムにした場合。都心部の税込み価格は13年の1000円から1030円→1084円→1115円と、年々上昇してきた。にもかかわらず月次の既存店客数は前年同月を上回っていることが多く、18年も10月までのうち6カ月で前年超えとなっている。