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『崩れる政治を立て直す 21世紀の日本行政改革論』 『人工知能はなぜ椅子に座れないのか』ほか

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崩れる政治を立て直す 21世紀の日本行政改革論 (講談社現代新書)
崩れる政治を立て直す 21世紀の日本行政改革論 (牧原 出 著/講談社現代新書/880円+税/246ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
まきはら・いづる●1967年、愛知県生まれ。90年、東京大学法学部卒業。東北大学大学院教授を経て、東京大学先端科学技術研究センター教授。専攻は行政学、政治学。主著に『内閣政治と「大蔵支配」──政治主導の条件』『行政改革と調整のシステム』『「安倍一強」の謎』など。

制度改革だけでは足りず作動学から安倍政権評す

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

森友・加計問題や日報隠蔽、裁量労働制データ改ざんなどの発覚は、官僚組織内でのサボタージュやリークの存在をうかがわせる出来事だ。近年まれに見る長期政権下で、官僚の不祥事が続くのはなぜか。

現在もさまざまな行政制度改革案が作られている。ただ、理論的に最適な制度にしたとしても、うまく「作動」する保証はない。本書は、気鋭の行政学者が制度の運営に焦点を当て、統治機構改革のあり方を論じたものだ。工学的発想の「作動学」を提唱する。

大日本帝国憲法や日本国憲法が導入された際も、「政と官」の関係がスムーズに回り始めるまでには相当な時間を要した。1990年代の規制改革や省庁再編は、日常的な行政活動を急変させたわけではなかったため、比較的円滑に移行できた。が、公務員制度改革は官僚行動に刷新を求める案件で、作動させるための戦略が本来は必要だった。第2次安倍内閣以降、内閣人事局を通じた幹部人事の統制で官僚制に官邸が過剰介入し、行政崩壊を招いたという。

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