【今週の眼】小峰隆夫 大正大学地域創生学部教授
こみね・たかお●1947年生まれ。東京大学卒。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2017年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)

来年10月の消費税率10%への引き上げを前に、増税分をポイントで還元したり、商品券を配布したりしようという案が検討されている。これに対して、立憲民主党の枝野幸男代表は10月29日の衆議院本会議の代表質問で、「こんな愚策を考えているのか」と批判した。この枝野氏の意見は正しい。

ポイント還元では、クレジットカードなど現金以外で買い物した消費者に一定期間ポイントを付与することが検討されている。一方のプレミアム商品券は、購入額以上に買い物ができる商品券を低所得者に発行するものになるようだ。なぜこれらの政策は愚策なのか。主な理由は二つある。

第一に、政策の必要性が疑問だ。増税後の消費低迷を招く要因の一つとなるのが、駆け込み需要とその反動である。ただしこれは家計自らが判断して、所与の条件下で利益の最大化を図る結果なのだから、政策的対応は不必要だ。