丸井グループでは11月から東京・中野エリアでQRコード決済サービスを開始した。中野マルイ(上写真)のみならず、近隣の商店街や飲食店と加盟店契約を結ぶことで、競合他社との差別化を図っている(編集部撮影)

小売り事業でビジネスモデルの転換を急ピッチで進めるなど、次世代を見据えた改革を相次いで実行してきた丸井グループ。独自路線を歩んできた結果、小売業再編の波に飲まれることなく、成長を続けることができた。

だが、EC(ネット販売)の台頭による競争激化など、小売業を取り巻く環境はいっそう厳しくなっている。丸井は、今後も独自路線を続けることができるのか。最終回となる連載第3回では、新しい決済の仕組みや働き方改革について青井浩社長にじっくりと聞いた。

「地域別経済圏を形成する」

──日本では、キャッシュレス決済の導入を進める店舗が増えてきました。丸井グループも対応を考えているのでしょうか。

QRコード決済などのキャッシュレス対応が今、注目されている。中国では、アリペイやウィチャットペイが短期間に圧倒的な勢いで普及した。そこで、日本でもスマートフォンでのQRコード決済が“台風の目”になるのではないかと予想され、多くの小売り業者が参入している。

だが、ほとんどの事業者が全国どこでも使えるQRコード決済のプラットフォーマーを目指している。この分野は、血みどろの戦いになると思う。何年間も赤字が続くことを覚悟して戦わなければならない。

一方、丸井グループは「EPOS Pay」というQRコード決済を2018年夏からスタートした。丸井の小売り店舗を中心に、近隣の商店街や飲食店と加盟店契約を結び、これまでのエポスカード(丸井グループが発行するクレジットカード)が使えなかった店での少額決済の利用を促進する。顧客の生活圏を中心とした地域別経済圏を形成することで、他社との競争の差別化を図っていきたい。

──「地域別経済圏」というのは具体的に何を指すのでしょうか。また、他社のサービスとはどこが違うのでしょうか。

当社はSNS基盤や総合インターネットサイト基盤を持っていないので、全国どこでも使えるプラットフォーマーを目指す理由がない。

青井浩(あおい・ひろし)/1961年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。仏・米国への留学後、1986年に丸井入社。1991年に取締役就任。2005年から代表取締役社長。祖父は創業者の青井忠治(撮影:梅谷秀司)

加えて、同じサービスで勝負することは、あんまり好きではない。「人のいく裏に道あり花の山」との言葉のように、できるだけ戦わないで独自の道を行く。大手企業が戦っているところに参戦するのではなく、誰もやらないようなビジネスを手掛けていきたい。その考えに基づいたものがEPOS Payというサービスだ。

周辺の店舗とか、近隣の商店街の店舗とか、その地域にお住まいの地元の方を中心に、ローカルに小さい経済圏をポツポツつくっていく。地域通貨のような発想で浸透させたい。

──「地域限定のQRコード決済」ということでしょうか。

EPOS Payというより、「EPOS中野Pay」をつくるようなイメージだ。中野Payができたら、次は「吉祥寺Pay」なども考えられる。中野や吉祥寺のように地元に愛着を持つ顧客が多いエリアでEPOSインターナショナルじゃなくて、EPOSローカルといった方向で、あえて逆張りで広げていければ面白いのではないか。

丸井グループは全国におよそ30店舗あるので、その店舗を中心に地方のさまざまな町の商店街と組んで、サービスを広げていければよいと考えている。

丸井が進める働き方改革の中身

──残業問題が深刻化されるなど日本の企業は「働き方改革」を迫られています。丸井グループはこういった社員の労働環境問題についても、いち早く対応してきました。