かんぽ生命は日本郵便に生命保険の販売を委託している(撮影:尾形文繁)

「おかしな保険に入らされた」。都内で保険販売代理業やコンサルティング業を営む坂部篤志さん(54)の元に母親(当時76)から電話があったのは、2017年8月のことだ。

母親にはあと2年で満期を迎える養老保険があった。坂部さんに万が一のことがあれば母親が保険金を受け取る契約だ。「手続きをすれば篤志さんの弟さんにも均等に保険金が行きます」と八王子郵便局から電話があったという。「郵便局の人が3人来て、玄関で書類にいろいろ書かされたが、どうもおかしい」と電話で訴える。

坂部さんが実家に戻って事の経緯を聞き、書類を調べると、受取人を兄弟二人に変えるのではなく、養老保険を解約し二つの保険に加入する内容だった。新たに契約したのは終身保険の「新ながいきくん」。母親が死んだら兄弟それぞれに保険金が下りる。

養老保険の解約金を充てる予定だがそれでは足りないので、不足分は母親が86歳になってから90歳になるまでの4年間、月4万円弱ずつを払う設計になっている。

「年金暮らしの母親に払える金額ではない」(坂部さん)。保険料総額(656万円)は保険金額(500万円)を上回る。予定利率(保険会社が約束する運用利回り)が低い養老保険ではよくあることだが、保険のプロの坂部さんから見て「ありえない」内容だった。

「同席拒否」と書かせ質問見せずに「マル」

契約内容のみならず、契約の取り方もありえないものだった。