鉄鋼|素材の王様「鉄」を届ける

商社には、「ラーメンからミサイルまで」扱うといわれる総合商社のほかに、鉄鋼や食品、化学品など特定の商材の取引に特化する専門商社も多くある。ここでは、総合商社顔負けのキラリと光る事業を持つ専門商社を紹介する。

総合、メーカー、独立系 系列超える業界再編も

まずは鉄鋼商社だ。鉄鋼メーカーが製造した鋼材を自動車や建材、電機メーカーに販売する仲介機能に加え、金融のリスク管理や需要家への情報提供を行うなど、取引全般にかかわる。

大手鉄鋼商社は総合商社系、鉄鋼メーカー系、独立系の三つに分けられる。総合商社系は、伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼部門が2001年に設立した伊藤忠丸紅鉄鋼、三菱商事と日商岩井(現・双日)が03年に設立したメタルワンがある。いずれも総合商社による鉄鋼流通再編に伴って発足した。

鉄鋼メーカー系は、13年に旧新日本製鉄系の日鉄商事と旧住友金属工業系の住金物産が統合して発足した日鉄住金物産JFE商事神鋼商事がある。独立系のトップは阪和興業。鉄鋼以外に非鉄金属、食品、石油製品を扱い、商材も幅広い。岡谷鋼機は江戸時代初期創業で中部財界の名門企業だ。

これまで総合商社系が圧倒的に強かった海外ネットワーク作りや事業投資に、鉄鋼メーカー系、独立系とも果敢に取り組んでいる。

今年4月に三井物産が鉄鋼事業の一部を日鉄住金物産に譲渡するとともに、第三者割当増資を引き受け、日鉄住金物産を持ち分法適用会社とした。総合商社系と鉄鋼メーカー系にまたがる、新しい鉄鋼商社の誕生は、今後の再編のモデルケースになる可能性もある。(本誌:鶴見昌憲)

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日鉄住金物産|イトマンの流れもくむ巨艦商社

鉄鋼は三井物産の一部事業を譲受した

日鉄住金物産(2019年4月に日鉄物産に社名変更)は、鉄鋼のほかに産業機械・インフラ、繊維、食糧と計4つの商社事業を柱としており、「複合専業商社」を標榜する。

鉄鋼以外の3事業は、1993年に旧イトマンを承継した住金物産が擁していた。日鉄商事と住金物産の統合で鉄鋼事業の比率が大きくなったものの、4事業が会社を支えるビジネスモデルはそのまま引き継いだ。

産機・インフラで得意なのは、自動車用ヘッドレスト部品だ。7カ国12拠点で生産、世界シェア13%を占める。繊維はアパレルメーカーへのOEM供給、食糧は海外からの食肉調達が主力。どの事業も半世紀から百数十年の長い歴史を持つ。

20年度までの中期経営計画では、4事業の成長で鉄鋼商社首位の売上高2兆8000億円、経常利益440億円を目指す。

 

エネルギー|脱石油へ事業構造を大転換

エネルギー商社は総合商社系と独立系に大きく分かれる。いずれも、ガソリンやLPG(液化石油ガス)など、石油関連製品を主力にしてきた。