【今週の眼】柳川範之 東京大学大学院教授
やながわ・のりゆき●1963年生まれ。慶応義塾大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

今、インフラをめぐる構造が大きく変わろうとしている。変化をもたらす原動力は、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTなどの技術革新だ。

インフラという言葉で多くの人が思い浮かべるのは、道路や橋、空港といったたぐいのものだろう。経済学では公共財というカテゴリーに分類されるものに近い。多くの経済活動の基盤になるものだが、利用者から適切に料金を徴収することは難しく、政府がその建設費用や維持コストを支払う必要があるとされてきた。

しかし技術革新が、インフラの果たすべき機能そのものを変えつつある。今まで道路といえば、それは車がスムーズに走れるための空間や設備というくらいの意味しかなかった。ところが自動運転技術、そしてIoTの進展に伴って、道路はそこを走行する車の情報などを伝える巨大なデータ伝達装置としての意味合いが強くなりつつある。同様のことは、空港などほかのインフラについてもいえる。