プラットフォーム・レボリューション PLATFORM REVOLUTION 未知の巨大なライバルとの競争に勝つために
プラットフォーム・レボリューション PLATFORM REVOLUTION 未知の巨大なライバルとの競争に勝つために(ジェフリー・G・パーカー、マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン、サンジート・ポール・チョーダリー 著/渡部典子 訳/ダイヤモンド社/2400円+税/499ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Geoffrey G. Parker●ダートマス・カレッジ教授。産業組織論分野において、「ツーサイド市場理論」の共同開発者としての業績で著名。
Marshall W.Van Alstyne●ボストン大学教授およびMITデジタル・エコノミー・イニシアチブ客員研究員。「ツーサイド・ネットワーク理論」の基礎に貢献。
Sangeet Paul Choudary●MITプラットフォーム戦略グループの共同議長。プラットフォームに関するコンサルティングを世界的に展開。

全産業で革命は起こる 双方向性がカギを握る

評者 スクウェイブ社長 黒須 豊

新規にプラットフォームビジネスを起こしたい意欲のある人にはもちろんであるが、現在確立したビジネスからプラットフォームビジネスへの転換を図るうえで悩んでいる大企業の経営企画部門の人にとっても、目を通す価値のある一冊である。

プラットフォームビジネスというと、マイクロソフト社のOSなどを頭に思い浮かべる人が多いだろうが、プラットフォームビジネス=コンピュータに関するビジネスと考えるのは早計である。有料旅客運送サービス市場におけるウーバー社や、旅行業におけるエアービーアンドビー社などを、その成功例として挙げることが出来る。

本書は、プラットフォームビジネスを成功させるために、どのように始めるのか、あるいは、どのように既存ビジネスから転換を図るべきなのかを事例を交えてかなり丁寧に記述している。

事例が海外に偏り過ぎているという批判もあろうが、そもそも、事実として米国発祥のビジネスが多いのだから致し方ない。むしろ、日米の差を勘案した上で、読んで参考になる事例が多い。

著者らは、あらゆる産業においてプラットフォームビジネス革命が進行すると予測している。今後、最も可能性が高い産業として情報集約型産業を筆頭に、四つの特長を有する産業を列記している。反面、規制産業等は短期的な変化が起こりにくいとも述べている。これから新規に起こす場合も既存ビジネスから転換を図る場合も有意義な指針になるだろう。

立論の中で重要な概念がネットワーク効果だ。

著者らは従来のビジネスをパイプライン型と称し、生産者から消費者への一方向のバリューチェーンを形成するものと定義する。

他方、プラットフォーム構造では、タイプの異なる消費者同士が互いにインタラクションを行い、ユーザーは消費者だったり、生産者だったり、その両方であったりする。

前者においては、規模の経済は供給サイドに働き、後者においては、需要サイドに効く。これをネットワーク効果と著者らは呼んでいるが、両者のビジネスモデルの質的な違いを見事に表している。

評者と著者らは同時期にMITに在籍していたが、身びいきということではなく、本書は今まで数多く書評を行ってきた中でも上位にランクされる良書であると言える。深秋に読み応えのある書としてお薦めしたい。