「ホールディングス(HD)とフジテレビの代表取締役社長をやってくれ。ミッションは業績回復しかない。視聴率を上げて業績を回復させる。とにかく、どう変えてもいいから結果を出してくれ」。昨年5月上旬。1988年以降、29年にわたり代表取締役を務めてきた日枝久会長(現在は相談役)は、後継者を会長室に呼び出し、トップ交代を告げた。

相手は当時BSフジ社長の宮内正喜氏。40年フジで経験を積み、編成制作局長や経営戦略統括専務に就任したが、その後は系列局の岡山放送で社長を8年、BSフジ社長を2年。フジテレビからは10年も遠ざかっていた。

打診は寝耳に水だったが、日枝会長のあまりにもシンプルな言葉が響いた。「本当に厳しい時期の指名だが、受けざるをえない。やるしかない」。宮内氏は覚悟を決めた。フジテレビとフジ・メディア・HDの社長に宮内氏が就任し、同じく会長に嘉納修治氏が就任するという、HDと一体となった新体制が決まった。

内示を受け、宮内氏は早速動き出す。正式な就任は6月下旬の株主総会後だが、それまでに終えなければならないことがあった。番組制作を支える組織改革だ。思い描いたのは、番組表を決める編成局の方針を中心に動く、かつての黄金時代の姿だった。

鮮明に残っていた黄金時代の記憶