自動車向けに使われる電子部品が活況を呈している。スマートフォンやパソコン向けの需要が踊り場を迎える中、大手各社では車載向け製品が業績を牽引。電子部品業界全体の用途別構成比を見ても、自動車向けは29.6%を占め、すでに通信機器向けを上回っている(2018年4~6月期、JEITA調べ)。
見本市に登場したコンセプトカー
10月中旬に開かれた家電・ITの見本市「CEATEC JAPAN」。今年はメガバンクやコンビニなど異業種からの出展が話題になったが、より大きなスペースに陣取っていたのが、電子部品メーカーだ。中でも各メーカーが自ら自動車やその一部を展示していたスペースに、来場者の関心が集まっていた。
カメラモジュールなど幅広い製品群を手掛ける京セラは、電気自動車(EV)ベンチャーのGLMと共同開発したコンセプトカーを展示。自動運転やADAS(先進運転支援システム)に使われる計12種類のデバイスやシステム、素材を実装していることをアピールした。


たとえばドライバーの目の前にあるヘッドアップディスプレーでは、ルート情報や車間距離などが実際の走行風景と重なり、高精細に表示される。時速や脇見などの情報が表示されるクラスターディスプレーには、パネルを指でタッチした際に立体をクリックしたかのような感覚を微細な振動で伝える技術が使われている。
ほかにも、高感度のカメラで撮影した車両後方の映像が車内の電子ミラーに映し出される。カメラは車内外に計9台配置した。
京セラの谷本秀夫社長は「(コンセプトカーの展示によって)ティア1(1次請け)や完成車メーカーに対し、われわれの技術でここまでやれるということを示したかった。部品や素材の提供にとどまらず、システム全体で売り込んでいきたい」と意気込みを語る(→インタビュー記事へ)。