週刊東洋経済 2018年11/10号
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自動車業界の主役交代を予感させる瞬間だった。

トヨタ自動車とソフトバンクはは10月4日、新たなモビリティサービス構築に向けて提携し、合弁会社を設立すると発表した。新会社のトップにはソフトバンクの副社長が就任。自治体向けの配車サービスを皮切りに、自動運転と飲食や医療、物流などを組み合わせた新サービスも視野に入れる。

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長とトヨタの豊田章男社長が登壇した4日の会見では、本提携がトヨタから持ちかけられたことが明らかにされた。約20年前、ソフトバンクはトヨタの国内販売店向けにインターネット活用を提案し、断られた経緯がある。今回は立場が逆転した格好だ。

トヨタがソフトバンクを頼ったのは、自動車業界の盟主とはいえ、業界の構造変化に強烈な危機感を持っているからにほかならない。

「CASE(ケース)」と呼ばれる新技術によって、自動車業界は100年に1度の変革期にある。各国政府の環境規制やIoT(モノのインターネット化)の台頭などを背景に、車の電動化、電装化の流れは止まらない。孫社長は「車は半導体の塊になる」とまで言い切る。豊田社長が「(CASEで)車の概念が大きく変わり、競争相手も競争ルールも大きく変わっている」と危機感を示すように、従来のガソリン車を中心とした新車販売のビジネスモデルだけでは通用しなくなっていく。

ソフトバンクグループは約3.3兆円で買収した半導体設計会社の英ARM(アーム)を擁すほか、傘下の10兆円規模のファンドなどを通じ、ライドシェアなどモビリティ関連の有力会社に次々と出資している(→関連記事へ)。トヨタには、提携でそのネットワークから知見を得る狙いもあるだろう。

日本の電子部品や素材が新たな主役に

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