写真は最近の自動車業界の技術展示会での風景。部品メーカーなどに交じり、化学・繊維大手が専用ブースを出し、技術力をアピールする光景が当たり前になった

旭化成が9月末、自動車用シート材の世界大手、米セージ・オートモーティブ・インテリアズを買収した。負債を含めた取得費用は約1200億円で、旭化成にとって過去3番目の大型買収だ。同社は2015年に二千数百億円で、EV(電気自動車)搭載電池用セパレーター大手の米ポリポアを買収しており、今回も自動車関連分野で大型買収に踏み切った。

セージのシート材は、独ダイムラーをはじめ欧米や日系の自動車メーカーが採用している。中でも織物・編物製の自動車用ファブリックシート生地では世界最大手だ。欧米や中国などに生産拠点を持ち、昨年度の売上高は約540億円。旭化成が製造する人工皮革の大口納入先でもある。

旭化成の小堀秀毅社長は、「自動運転やコネクテッド(通信との接続)などで、自動車の室内空間はどんどん変わっていく。セージのデザイン力と、われわれの素材やセンサー技術を組み合わせ、自動車メーカーに新たな提案をしていきたい」と話す。

同じ化学・繊維業界の大手、帝人も今年8月、約160億円を投じ、自動車向け内装材メーカーの独ジグラーを買収した。ジグラーは、不織布製の自動車用吸音材などを主力とする。年商は約90億円と小粒だが、多くの欧州自動車メーカーで使われている。

その販路と自動車の内装材用途の成長性に着目し、買収を決めた。「自動車メーカーは、車内をもっと静かで快適な空間にしようと競っている。EVになってもそれは同じ。ジグラーと当社の不織布の技術を持ち寄り、より高性能な吸音材を開発してニーズに応えたい」。帝人フロンティアの宮堂倉一・執行役員はこう意気込む。

アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP