10月18日、ロシア南部のソチで「バルダイ・クラブ」が開催された。ロシア大統領府の肝いりで、内外の有識者を招いて行われるプーチン大統領との討論会だ。この席で、プーチン大統領が北方領土交渉をめぐり、とても重要なシグナルを出した。しかし、マスメディアにはこのシグナルを読み解くことができていないようだ。たとえば、TBSニュースはこう報じた。

〈ロシアのプーチン大統領は、自らが提案した「前提条件なしでの日ロ平和条約の年内締結」について、「安倍総理は受け入れなかった。日ロ交渉の先は何も見えない」と語りました。

18日、ロシア・ソチで行われた国際会議でプーチン大統領は、先月、日本と「年内に前提条件なしの平和条約を締結する」と提案したものの、その直後、別の場で、安倍総理から「受け入れられない」と言われたことを明らかにしました。その上で、領土問題の交渉をめぐり日本とロシアは「70年も足踏みをしている。終わりが見えない」と述べ、日本政府の対応に不満を見せました。また、北方領土での共同経済活動に関しては大きな進展がないとしています。

一方で、平和条約締結後も「領土問題の交渉を拒否するものではない」として、対話を継続していく考えを示しました。また、中国との国境問題を解決した例を引き合いに、信頼関係の醸成の重要性を訴え、日本がロシアへの制裁の枠組みに加わっていることは、信頼の構築とは言いがたいと指摘しました。〉(10月19日「TBSニュース」ウェブサイト)

後で詳しく説明するが、プーチン発言を「安倍総理は受け入れなかった。日ロ交渉の先は何も見えない」と整理しているが、これは不当な要約である。