今年のノーベル医学生理学賞受賞者は、京都大学特別教授の本庶佑氏らに決まった。新しいがん免疫療法の道を切り開いた功績に対するものだ。がんをはじめ、人類が克服できずにいる病気はいくつもある。それらの治療の切り札として期待されるのが再生医療だ。薬では治しきれない病気を、細胞移植などにより治そうという療法。中でも日本発のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った再生医療が、今年に入って次々と実用化に向けて動きだしている。その現状と今後の課題を展望する。

パーキンソン病などで被験者の募集始まる

京大iPS細胞研究所(CiRA)所長の山中伸弥氏が発見したiPS細胞。わずかな皮膚片や血液などに、多能性誘導因子を加えて培養することで作製できる幹細胞のことだ。神経、筋肉、骨、血液など、体を構成するさまざまな細胞に分化できる。

そのiPS細胞を使った治療を目指し、臨床研究(ヒトに対して行う医学研究)や治験(医療製品としての製造・販売承認を目指す臨床試験)が進む。

世界で初めてiPS細胞由来の細胞がヒトに投与されたのは2014年。日本の理化学研究所の髙橋政代氏らが実施した臨床研究だ。目の難病である加齢黄斑変性(滲出〈しんしゅつ〉型)の患者に対して、iPS細胞から分化させた網膜色素上皮細胞が移植された。

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